2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ そのとき、東では魔神が召還された。 さらに、南の魔獣が長き眠りより目を覚ます。 そのうえ、北の竜王が2度目の復活を果たす。 東の魔神「西の魔女がやられたようだな…」 南の魔獣「フフフ…奴は四天王の中でも最弱…」 北の竜王「人間ごと…

飴と無知

近くの公園で、犬を散歩させている少女がいた。 しきりにお手、お手と叫んでいる。 だが、犬はよく分からないらしく、少女の手をなめたり飛び回ったりしていた。 何度目かの少女の叱責の末、犬はお手に成功した。 少女は盛んに犬を褒め、頭をなでてながらポ…

ニュー・シネマ・パラダイス 別解 涙の理由

王様がパーティーを開き、国中の美しい女性が集まった。 一介の護衛の兵士が王女の通り過ぎるのを見て、あまりの美しさに恋に落ちた。 でも、王女と兵士では身分が違いすぎる。 あるとき、護衛は王女に話しかけた。 「あなたなしでは生きていけない」 王女は…

高度に発達した占いは予言と区別がつかない

「占いと予言の違いは何だと思う?」 いつものように放課後、演劇部の部室に二人。 立花の会話の脈絡のなさもいつも通りだった。 「的中率じゃないか? 当たる前は占いで当たれば予言、託宣の類だ」 「で、googleってあるよな」 「あるな。まあ、良く使って…

睡眠作法

深い闇から、引き摺り出される感覚。 覚醒までのわずかな時間で、様々なことを一度に思い出す。 自分に目があること、体があること、生きていること。 隣では愛娘が引き攣りを起こすほどの大声で泣いていた。 こんな状態になるまで起きないとは、久しぶりに…

googleからのお知らせ

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さるとかにと

昔々あるところに蟹がいた。 ある日、蟹がおにぎりを持って歩いていると、知り合いの猿が柿の種と交換しようと言ってきた。 蟹は猿とは仲良くしていたが、交換するのがちょっと嫌だった。 確かに蟹が炭水化物を摂取してどうするのか、それに何故すぐに食べず…

冷たい舟板の方程式(3)

俺たちは移植用の臓器を以下略。 離陸してから5分以下略。 密航者は少女だった。 彼女は言った。殺さないで、こんなことになるとは思ってなかった等々。 俺は彼女に言った。 「どうしても助かりたいか?」 彼女はぶんぶんと頸を振った。 占星術殺人事件 (講…

冷たい舟板の方程式(2)

俺たちは移植用の臓器を運ぶため、高度1万2千メートルをマッハを越えるスピードで飛んでいた。 乗っている人間は俺を含めて五人いた。急いで出発準備をしたため、燃料はぎりぎりだったが、患者の命を救うためには補給などの寄り道などしている暇はなかった…

冷たい舟板の方程式(1)

俺たちは移植用の臓器を運ぶため、高度1万2千メートルをマッハを越えるスピードで飛んでいた。 乗っている人間は俺を含めて五人いた。急いで出発準備をしたため燃料はぎりぎりだったが、患者の命を救うためには補給などで寄り道などしている暇はなかった。…

あるいは桜の樹の上には

桜の樹の下には屍体が埋まっているのだ、と誰かが言った。 確かに当たり年も関係なく毎年咲き誇る桜を見ていると、それも至極当然に思えてくる。 満開に咲き誇るそばから散りゆく桜。 この相反する性質が共存する様が人のこころをざわつかせるのだろう。 か…

うまい話には裏があると人は言う。 だから、怪しい儲け話にはのってはいけない、と。 では、逆に危険と見返りが明確でさえあれば怪しい儲け話にのっても構わないというのだろうか? 例えば死体置き場の管理人、例えば新薬の実験、何だかよく分からないものを…

千年女優

「千年女優をどう思う?」 「また、今さら何がどうした」 いつものように放課後、演劇部の部室に二人。 立花の会話の脈絡のなさもいつも通りだった。 「いや、久しぶりに見たから、感想書いてるサイトを一巡りしたんだが思うような感想にぶつからなくてな。…

論理式

時は金なり 沈黙は金 光陰矢の如し 上記定義より A.時=金=沈黙 B.時は驚くほど早く過ぎる 講評 話題の無い相手と過ごす時間はそれほど早いようには思えない。 矢のごとく心に刺さるという点では間違いではないといえよう。

犬も歩けば棒にあたる

だが、犬はひらりとみをかわした 犬のこうげき 棒に29のダメージ 棒はたおれた 棒はなかまになりたそうにこちらをみている なかまにしますか? →はい いいえ http://ja.wiktionary.org/wiki/%E7%8A%AC%E3%82%82%E6%AD%A9%E3%81%91%E3%81%B0%E6%A3%92%E3%81…

『愚者の問いは常に愚問』は真なるか

「何故人間を殺してはいけないのか」 たまに静かだと思ったら口を開いたときの愚かさが倍になるとは。 三回分くらい黙っていてくれたら脳がはじけ飛んだりしないだろうか。 いつものように放課後、演劇部の部室に二人。 考える価値と答える価値が拮抗してい…

恋愛の臓器

「胸がきゅんとなる時って一体どこに痛みを生じてるんだろうな」 いつものように立花だった。 放課後、演劇部の部室に男が二人。 俺は今、すごく頭痛が痛い。 思わず読んでいた本を取り落としそうになる。 「なんだ、知らないのか? 心臓と胸郭との隙間にエ…

自意識の課題と対策

課題 秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)作者: 米澤穂信,片山若子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2009/02/28メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 78回この商品を含むブログ (322件) を見る秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)…

バベルの

「太陽電池ってあるよな?」 いつものように立花の質問は突然だった。 放課後、演劇部の部室に男が二人。 いつもの様に本を読んでいた俺は、あるな、とだけ答えた。 「ゲームとかでさ、魔力を貯める装置とかってあるよな」 俺の返事を聞いているのかいないの…

胎児の夢

彼女は何も知らない、何も見たことがない。 ただひたすらに海に揺蕩う。 彼女は何を想うのか。彼女は何を夢見るのか。 彼女は世界の狭さを知らない。 彼女は内なる広さを知らない。 彼女にあるのは逆さの天地と二つの心音。 時が満ちれば世界は頭上から落ち…

 ギミギミック

「うれし泣きってしたことあるか?」 立花の質問は突然だった。 放課後、演劇部の部室に男が二人。 いつもの様に本を読んでいた俺は、いつもの様に視線も上げずに、いや、とだけ答えた。 「聞く相手を間違えたよ。お前は俺が死んでも泣くようなやつじゃなか…

 おみくじと確定申告

賭け事が嫌いでも、元旦にはそろってお御籤を引くのだから人間とはわからないものだ。ギャンブルはしなくても宝籤は買うという人間が多いのもそのせいだろう。 さらに言えば、自分を合理的だと考えている者もその中には多数いるのだから噴飯ものだ。 まぁ、…

 結婚

「結婚は人生の墓場だってのは誰の言葉だったかね?」「また、けんか?」 私の質問に兄はため息で応える。 兄は昨年結婚したばかりだ。二ヶ月前には子どもも生まれた。 なのにしばしば実家に帰ってくる。奥さんも子どもを連れて実家に帰っているといっていた…