片説
「5列はきっついな」 青列に2を出す。 「でも、2列はもっとないわ。蹂躙される。1ターンで100点越えるて」 青挑戦カードを廃棄。 「また、そういうことをする」 青5。 「なんていうの? 資金援助?」 青4を廃棄。 「我慢にも限界があるよね。いろん…
この週末は嫁が3ヶ月になる娘をつれて実家に帰っていた。 久々に広いベッドでぐっすりと寝られて大変気分が良かった。 ネットもやりたい放題だし、カップラーメンなんかも食べられる。 まあ、たまにだから良いのだけれど。 案の定、日曜日には少し寂しくな…
かつて人間は、皆一つの同じ言語を使い、同じようにblogをDoしていた。 彼らは東方に移動し、wikiを見つけて、そこに住みついた。 彼らはBasicの代わりにCを、HTTPの代わりにHTMLを用いることができるようになった。 彼らは言った。 「さあ、全ての知を結集…
今日は5年ぶりに機種変をしに来た。 高校3年から大学卒業まで使った愛着のあるやつだったけど、とうとう液晶が割れてしまった。店にもっていったけど、もう部品が無いから修理できないって言われた。 ちょっと考えますって、機種変しないとどうしようもな…
「どうしたんですか、主任? そんなにやにやして」 彼女は呼びかけた男の机まで近づくと、持っていた書籍の束をどさりと置いた。 置かれた書籍で、男が先ほどまで操作していたパソコンの画面は見えなくなる。 「ああ、ようやく奥さんと別れられたんですね。…
むかしむかし、あるところで神さま同士の話し合いがありました。 「あー、明日から天地創造が始まるわけだが、誰か意見はあるかね」 一際輝かしい神さまが一同を見渡しました。あまりに輝かしいのでもちろん顔は見えません。 「平等な世界が良いと思います」…
おめでたい、と最近よく言われる。 もちろん子どもが生まれたからだ。 できる限りの笑みを浮かべて、ありがとうございますと力いっぱい答えているが、本心からおめでたいことなのだ、と思ったことは今のところない。 誤解されては困るのだが、僕は家内が嫌い…
「ただいま」 帰りの言葉に返事は無い。ただ、暗い部屋が待っているだけだった。 冷蔵庫の低く唸る音がやけに大きく聞こえた。 先月から妻は出産の為に実家に里帰りしていた。先日ようやく生まれ、再来週に帰ってくる予定だ。毎週の会いに行っているし、写真…
王様がパーティーを開き、国中の美しい女性が集まった。 一介の護衛の兵士が王女の通り過ぎるのを見て、あまりの美しさに恋に落ちた。 でも、王女と兵士では身分が違いすぎる。 あるとき、護衛は王女に話しかけた。 「あなたなしでは生きていけない」 王女は…
深い闇から、引き摺り出される感覚。 覚醒までのわずかな時間で、様々なことを一度に思い出す。 自分に目があること、体があること、生きていること。 隣では愛娘が引き攣りを起こすほどの大声で泣いていた。 こんな状態になるまで起きないとは、久しぶりに…
昔々あるところに蟹がいた。 ある日、蟹がおにぎりを持って歩いていると、知り合いの猿が柿の種と交換しようと言ってきた。 蟹は猿とは仲良くしていたが、交換するのがちょっと嫌だった。 確かに蟹が炭水化物を摂取してどうするのか、それに何故すぐに食べず…
「太陽電池ってあるよな?」 いつものように立花の質問は突然だった。 放課後、演劇部の部室に男が二人。 いつもの様に本を読んでいた俺は、あるな、とだけ答えた。 「ゲームとかでさ、魔力を貯める装置とかってあるよな」 俺の返事を聞いているのかいないの…
彼女は何も知らない、何も見たことがない。 ただひたすらに海に揺蕩う。 彼女は何を想うのか。彼女は何を夢見るのか。 彼女は世界の狭さを知らない。 彼女は内なる広さを知らない。 彼女にあるのは逆さの天地と二つの心音。 時が満ちれば世界は頭上から落ち…
「うれし泣きってしたことあるか?」 立花の質問は突然だった。 放課後、演劇部の部室に男が二人。 いつもの様に本を読んでいた俺は、いつもの様に視線も上げずに、いや、とだけ答えた。 「聞く相手を間違えたよ。お前は俺が死んでも泣くようなやつじゃなか…
賭け事が嫌いでも、元旦にはそろってお御籤を引くのだから人間とはわからないものだ。ギャンブルはしなくても宝籤は買うという人間が多いのもそのせいだろう。 さらに言えば、自分を合理的だと考えている者もその中には多数いるのだから噴飯ものだ。 まぁ、…
「結婚は人生の墓場だってのは誰の言葉だったかね?」「また、けんか?」 私の質問に兄はため息で応える。 兄は昨年結婚したばかりだ。二ヶ月前には子どもも生まれた。 なのにしばしば実家に帰ってくる。奥さんも子どもを連れて実家に帰っているといっていた…