おみくじと確定申告

賭け事が嫌いでも、元旦にはそろってお御籤を引くのだから人間とはわからないものだ。ギャンブルはしなくても宝籤は買うという人間が多いのもそのせいだろう。
さらに言えば、自分を合理的だと考えている者もその中には多数いるのだから噴飯ものだ。
まぁ、個人の信条などよりよほど強固に人間の行動を規定するのだから年中行事も侮れないということか。
斯くも習慣とは恐ろしいものだね。


さて、お御籤といえば境内の木に結んでいる姿を良く見るがあれは間違いなんだってね?
正確に言えば、本来は望まぬ運勢を厄払いの意味で結ぶのであって、願いを叶えるために結ぶのではないということらしい。
つまり、折角大吉を引いても結んでしまえば当たり籤を放棄するようなものなのだ。
それでは握り締めたお賽銭も無駄になろうというもの。
神様も呆れるしかあるまい。


お御籤に限らず、無知ゆえに自らの権利を放棄しているということはこの世の中では案外多い。特に税の世界に関しては。


貴方は扶養の意味をご存知だろうか? では、その範囲は? 社会保険の扶養との意味の違いは?
それでは、収入と所得の違いはどうだろう。給与所得者でも経費で申告可能なものだあるのはご存知か?


確かにはっきり言って現代の税制は、納税者にとっては非常に理解しにくい。
どう考えても誤謬による過誤納税を求めているとしか思えないほどに。
しかし、目先の一円に敏感になるのであれば、毎年徴収されていく数十万円に関心を払った方が良いのは事実だ。
確かに数字の羅列と法例文章は眠気を誘うだろう。
ただ、神に頼むよりご利益があることは確実だ。おそらく宝籤を買わない人間は税法を読んでいる。


お御籤を引くのも確定申告に行くのも年一回。
どちらの紙を熟読するかは、あなたの合理的判断に任せたいと思う。