林と立花
「血液型何型だったけ?」 このようにいささか時流に沿わない話題を振りまくところが立花の良いところである。 そして、本日の優しさはこれにて終了。 空気よめ。あほ。死ね。 そんな牧歌的雰囲気に包まれた放課後の演劇部の部室には、今日も今日とて男が二…
「あなたの幸せの為に祈らせてください」 お前が死んでくれたら幸せです。 思っても口にしないのがエチケット。 「死ね」 あ、出ちゃった、てへ。 そんな頭の煮えた初夏の放課後、部室に男が二人。 「俺が祈ったところで、お前になんの害があるんだよ」 立花…
「尊厳死は好きか?」 今日も今日とて頭が煮えているらしい。そういえば、もう春だしな。 いつものように演劇部の部室で愚かな問答を繰り広げる男が二人。 「定義にもよるが、そもそも俺はその尊厳死とかいう言葉が嫌いだ」 本から視線を外さずに答えた。 『…
「眠い」 帰って寝ろ、と言おうとしたが、自分も本を読んでいるだけで特に部室にいる必要もなく、立花に揚げ足を取られるのは人間としての尊厳に関わるため、いつもの様に返事はしなかった。 そんないつもどおりの部室。演劇部の男が二人。 「しかし、MMOは…
「占いと予言の違いは何だと思う?」 いつものように放課後、演劇部の部室に二人。 立花の会話の脈絡のなさもいつも通りだった。 「的中率じゃないか? 当たる前は占いで当たれば予言、託宣の類だ」 「で、googleってあるよな」 「あるな。まあ、良く使って…
「千年女優をどう思う?」 「また、今さら何がどうした」 いつものように放課後、演劇部の部室に二人。 立花の会話の脈絡のなさもいつも通りだった。 「いや、久しぶりに見たから、感想書いてるサイトを一巡りしたんだが思うような感想にぶつからなくてな。…
「何故人間を殺してはいけないのか」 たまに静かだと思ったら口を開いたときの愚かさが倍になるとは。 三回分くらい黙っていてくれたら脳がはじけ飛んだりしないだろうか。 いつものように放課後、演劇部の部室に二人。 考える価値と答える価値が拮抗してい…
「胸がきゅんとなる時って一体どこに痛みを生じてるんだろうな」 いつものように立花だった。 放課後、演劇部の部室に男が二人。 俺は今、すごく頭痛が痛い。 思わず読んでいた本を取り落としそうになる。 「なんだ、知らないのか? 心臓と胸郭との隙間にエ…
「太陽電池ってあるよな?」 いつものように立花の質問は突然だった。 放課後、演劇部の部室に男が二人。 いつもの様に本を読んでいた俺は、あるな、とだけ答えた。 「ゲームとかでさ、魔力を貯める装置とかってあるよな」 俺の返事を聞いているのかいないの…
「うれし泣きってしたことあるか?」 立花の質問は突然だった。 放課後、演劇部の部室に男が二人。 いつもの様に本を読んでいた俺は、いつもの様に視線も上げずに、いや、とだけ答えた。 「聞く相手を間違えたよ。お前は俺が死んでも泣くようなやつじゃなか…