ぽじてぃぶ大権現

家に帰ってくるとまずは娘2の『本日の一日』の解説が始まる。
『本日の一日』が表現としておかしいことは言を俟たないが、娘2の言説は正しくおかしいので適切なのである。
例えばこんなだ。
「誰それがお休みだったけど、プールに入らなかった子は赤いスカートが可愛くって、雲梯で端から端までいける。カレーはのこさんと食べれたよ。Aくんには負けたけどな。かけっこは勝てるんで。おにごっこした。」
これでもまだまとまってしまっていて、私には完全再現が難しい。
ちなみにプールと雲梯は今日でおにごっこは先週で、カレーは家の話だ。


話をしている間に次の話題を思いついてしまうのだろう。
脳内に万国旗がぎゅうぎゅうに詰まっているに違いない。
色とりどりの人生でうらやましい限りである。


で、親には本日の話題を見極め、狙い定めて打ち抜くスキルが求められる。
間違うと、「何言ってんだ、お前? それは今日の話じゃないぞ。いちからか、一から説明しないとダメか?」みたいな顔をされる。
めちゃくちゃに腹立たしい。仕事疲れも倍増である。


「雲梯したんや。どれくらいできたん?」
「Bちゃんな、雲梯し過ぎで血がでた。Cくんも血がでた」
おさるさんか、キミたちは。
しかしまあ、マメはできるよな。皮膚やらかいし。
痛みに弱い娘2はすぐにあきらめちゃったんだろう。だって、手から血なんか出た日にゃ娘新聞1面ぶち抜きのトップニュース確定だもの。
しかし、あんまりやれやれ言い過ぎるのも言われて気持ちの良いものでもないしなあ。
などと思案している私の傍らで恐るべき放言が鋭く放たれた。
「娘2もめちゃめちゃしたんやけど、血は出んかった。手が丈夫っぽいからやな(断言)」
何言ってんだ、お前(真顔)


恐るべきぽじてぃぶ。そして、わーるどいずまいん。
これで自己肯定感が低いってんだから、人間とは斯くも恐ろしく複雑なものであることよなあ。