低確率の殺人

5年後生存率などの話を聞いてもあまり危険度が想像できない。
死ぬかもしれないし死なないかもしれない、というのはなんとも身体的に実感しづらく恐怖心ばかり先に立ってしまう。
伊藤計劃さんがそんなことを書いていたような気がするが、捏造かもしれない。
個人的にはその人がだんだん薄くなるイメージで捉えている。検査をクリアするたび、実像を結ぶ感覚。


夕方、古本屋の駐車場でチャイルドシートにすやすやと寝ている赤子を見た。生後半年から1歳の間だ。
中に親の姿は無い。晴れてはいるが気温は高くなく、しかし、子どもの寝る助手席には直接日が差し込んでいる。
持っていった本を店に運び込む間には親は帰ってこなかった。


店員にアナウンスするよう言おうかどうか迷ったが、結局言わなかった。
1時間後店を出るときには既に車はなかった。
私は何%の罪を償えば許されるのだろう。