親は子の傘か

まあ、単一電池がない。
うちに備蓄がないので、古株のコンロさんがへそを曲げたら食料供給に深刻な被害が予想される。
なにしろパンが焼けない。まだ一斤くらいあるのに。オーブンで焼くなんてブルジョアな真似はしたくないしなあ。


そういえばミネラルウォーターも消失していた。
親のひとりとして、子どもに飲ませたくない気持ちは想像できる。たぶん私もどうにかして飲ませずにすむようにするだろう。
ただ、どこまでを守備範囲として想定しておけばよいのか、とは思う。
最悪は底がないから地獄というのだから。


自分が身を投げ出すくらいで守れるのなら苦労はないのだが、もう世界はそのようにできていない。危険を直感的に理解できず、彼我の距離も測れず、襲われていることも感じられない。
その中で親は、未知のものを知り、真実らしきことを選り分け、最悪の中の最善を希求する。
しかし、溺れる親が見あげる水面は、夥しい藁で覆い尽くされているだろう。


おそらく、きっと、守りきれない。私は全能じゃないから、十全をキミにあげられない。
でも、それでも親と呼ばれたいんだ。