名誉のために

毎朝の儀式に追加事項がまた一つ。
起きるなり居間へ走っていき、先の児童館運動会で授与されたゴールデン参加賞メダルを首から提げることである。
燦然と胸に輝く金の厚紙。首に掛かるは化繊のリボン。
安っぽい光が寝ぼけ眼に大変眩しい。


わかった。誇らしいのはわかったから、とりあえずそのびしょびしょのおしめを換えさせてくれ。


ゴムひもの付いた帽子はまだ自分で装着できないにも関わらず、メダルはあっさり頭を通す。
きっとゴールデンな名誉が能力値を底上げしているのだろう。コーエー三国志でもそうだったのだから不思議ではない(私の頭以外は)
ただ、できれば知力が上がるアイテムを頼むよ、孫子とか。


子どもはいつでもどこでも付けていたい。
外そうとすると怒るし、散歩にだってもちろん装着していく。
ゴールドメダリストでもそんなに身に付けてないと思うのだが。
子ども的には大変素晴らしい名誉なのだろうな。たとえ参加賞でも。


今までもそういった装飾品志向はあったが、今回は特に強い。
この調子でいくとどんどんメダルが増えていき、将来的にはどっかの将軍様みたいになるのだろう。そして、最終的にその勲章の重さで自立不可能になり死を迎えるのだ。
これを名誉の戦死という。


最悪の結末を回避するために、いまから名誉は累積しないということを教えていかないとな。
このメダルは今のキミを表すものではないのだから(リボンのとれたメダルをボンドで接着しつつ)