わたげ
花が好きだが、綿毛の方がもっと好きだ。
春なのでいたるところで花が見つかる。特にタンポポの黄色は目に鮮やかだ。一面の緑に一際映える。
先日まで暖かかった関係で、散歩しているとちらほら綿毛が見つかる。
見つかると無視して通り過ぎるわけにはいかない。だって、私が気付かず行き過ぎたら首がねじ切れるんじゃないかってくらい後ろ向くし。
で、滞りなく綿毛を手に入れても、どうにもならない問題がある。
子どもはふーふーと綿毛を吹く事ができないのだ。
何度もやってみせてはいるのだけれど、ラッパと同様、まだコツを会得していない。
しかし、綿毛は飛ばしたい。親は一人で目の前で楽しそうに飛ばしているし。
そこで我が子は考えた。そうだ、握って振れば飛んでいくはずだ!
一心不乱に綿毛を振る我が子。
子どもの期待通り、確かに綿毛は舞っていた。しかし、それ以上にお腹にべったりくっついていた。むしろ子どもが綿毛だった。
・・・・・・手、短いからなあ、キミは。
さらに飛ばし足りなくて、次持ってこいと催促されるという悪循環。
うなるタンポポ。張り付く綿毛。
笑う我が子。苦笑いする私。
ああ、春だなあ。