みかんとばなな

「っかん」及び「ばあのぁ」が正式な発音。
聞き取れるのは、日々の成果と勘違いの賜物だと思う。
あんなに愛してやまないイチゴは、まだ呼ばれたことがない。
人間、欲望で出来ることには限界があるという証左だろうか。
たぶん、食べることに集中しすぎて、私が「いちご」と言っているのが耳に入っていないのだと思う。
名前はおいしさには関係ないし。


だからといって、出る回数が多いものから覚えているわけではない。
現に「にんじん」「とうふ」「ごはん」なんかは発音したことがない。言わなくても出てくるからかもしれない。
もしかすると、おいしさやうれしさが発語に関係するのだろうか。


ただ、言わなくてもでてくるはずの「とうちゃん」「かあちゃん」は良く発語する。
なのに、一番耳にしているはずの、自分の名前はまだ言えない。


何が必要で、何が大事かなんて本人にしかわからない。
私は人の顔と名前を覚えるのが大の苦手だけれど、我が子の顔と名前は間違えたことがない。
そんなのあたりまえだって?
そうかな。私にとっては不思議だ。
名前は感動には関係ないのだし。