あったかい

突然あったかくなった。
隣の家の庭では桃の花が一斉に蕾を膨らませ始めた。
戸惑うほどに春である。


春といえば散歩。散歩といえば我が子である。
ところてんにならんばかりに網戸に顔を押し付け、外へ外へと私を誘う。
引き剥がしても引き剥がしても、春の日差しが降り注ぐ窓へと向かう。
誘蛾灯に誘われる虫か、キミは(最低の喩え)


まだ自立歩行はできないので、抱っこで外の神社の境内へ。
おんぶしようとすると何故か反り返るので危険。炙ったスルメか。
歩けないとなかなか遊びが増えないのが残念だ。本当はもっと追いかけっことかかくれんぼとかがしたい。
試しにやってみるのだが、どうみても神さまの前に捨て子する親なので慌てて戻った。


子ども自身はその行為を理解することなく、単純にきょとんとしていた。
抱き上げると気温のせいか、ほっぺが赤くて可愛らしい。
思わず頬ずりすると、子どもは春の温みがした。