だいて

諸手を挙げれば抱いての合図。
無抵抗な感じが大変可愛らしいのでついつい抱き上げてしまう。
本当は飛びたいだけかもしれないが、結果は同じだから本人も満足だろう。


しかし、いつもいつも抱いておくわけにはいかない。
あいにく私はカンガルーじゃないから、ぽっけにしまっておくこともできないし。
どうしても一人の時間は発生する。
だからだろうか、最近は床に置いただけで悲しげに泣くことも多くなった。
一人では生きていけないのを知っているからだろうか。
それとも、一人ではもう楽しくないのだろうか。
ただ、そのわりに人見知りをする。きっと誰でも良い訳じゃないのだろう。


この人だと決めたら、無条件で無防備な自分をさらす。
そうすればきっと抱き上げてもらえる。
逆に無防備な姿をさらしてもらいたいなら、少なくともおしめの世話まではやる必要がある。
さて、どちらの方が簡単だろうか。どちらもなかなか難しい。大人には特に。
ただ、どちらかしか方法がないのは赤子だって知っている。