2009-05-11 口唇期 短文 なぜ指を舐めると落ち着くのだろう。 二ヶ月の娘は今しきりに指を吸っている。 当たり前のことだが、指と乳はちがう。 指は甘くもなければ、栄養もない。 つまりは吸うという行為が快楽なのだろう。 口唇期とは良く名づけたものだ。 吸われる指は快楽を生まない。 ところで私はくちづけが好きではない。 特に粘液の交換が嫌いだ。べたべたするし。 それでも強いてしないわけじゃない。 ただ、思うのだ。 ああ、私は指なのだな、と。 唇が触れる度、私は指を思うのだ。