幼稚園の砂

娘1は幼稚園から何かしら持って帰ってくる癖がある。
落ち葉とか桜の花びらとか微笑ましい物件であることもあるが、真の子どもはそんな大人のしゃらくさい願望なんかもちろん斟酌しなくって、大概は微妙な笑顔を浮かべるしかないもんなんである。
以前だとお花を潰した色水で、最近は砂場に落ちている貝殻だったりしてた。子ども心の正体はこれ。これに目がキラキラできなきゃ大人なのである。


で、本日喜び勇んでお持ち帰ってきたのは砂だった。
貝殻じゃなくって、砂。ビニール袋に包まれた、1キロ以上の。
砂。娘。黒い砂。笑顔の娘。手渡されるずっしりとした砂。賞賛待ちの娘。
砂、砂、砂――――


なんの衒いもなくリュックからずももももっと砂が出てきたときの衝撃といったらない。
やられてみてください。文字通り言葉を失うから。質量が大きいってのはそれだけで暴力なのである。
こちらとしたら、まあ笑うしかないわけで。甲子園気分かよ(力ないつっこみ)


「ありがとうねー。でも、みんなが砂場の砂を持って帰ったらどうなるかな?」
「……砂場 なくなる(はっと何かに気付いた顔で)」
「どうしようか」
「今から返しに行くの?(大変大変残念そうに)」


いや、そんな大至急じゃなくっても。
ほんとうちの子は真面目だなあ。ちょっとすっとこどっこいなだけで。