愛情の表現

遅く帰ってきて一人でご飯を食べてると、恐ろしいほどにちょっかいを出される。


「とーちゃん、なにしよん?」
ご飯食べてんだよ。というか、さっき晩御飯の感想を述べたろう、キミは。
かと思えば、私と椅子の隙間にぎゅむぎゅむと体をねじ込んできたり。狭いって。
仕返しにぎゅーっと押し潰すとげらげら笑ってた。
「ごはん、あついけんふーふーして食べなよ?」
はい。


ぶっちゃけた話大変うっとおしいわけだが、これがなかったら寂しい。絶対に。もう独り暮らしなんてできない体になってしまった。
子どもに愛されてるなあ、と感じるのはこういう瞬間だ。
嬉しいと同時に、例えどれだけ仕事で疲れていたとしても無碍にしてはならないとも思う。無償で提供されているからこそ、扱いは慎重にしないといけないのだ。


愛情表現が昔から苦手だ。今、子どもに教えてもらってると言っても過言ではない。
子どもを見ているとどれだけ自分の柔らかい部分を恐れず相手に預けられるかが、信頼であり愛情表現なのだと思う。
昔の自分は格好つけて腹を見せようともしなかった。それなのに愛されようとしていた馬鹿だった。そんな価値ある人間なはずもないのに。


子どもに愛情を返したいなら、分かりやすくしないといけない。犬が寝転んでお腹を見せるように。
見ただけで子どもが笑うくらい、もっと上手に寝転べるようになりたいな。