長靴

早朝のにわか雨に誘われて、めずらしく朝の散歩へ。
子どもは黄色い長靴を履き、もう降っていない雨のために赤い水玉模様の傘を抱えて飛び出して行った。
早速水溜りを見つけて突進。映りこんだ晴れ上がった空を蹴散らし、勢い良く泥水を跳ね上げる。
ほんと洗濯をする人間に対して容赦がない。


いつも、雨が降るたび長靴で出かけるのか尋ねてくる。
どう考えても歩き辛いだろうに、いつも玄関に並べようとするのは長靴だ。
長靴の特別はまだ色褪せていないらしい。長靴は無敵だな。
子どもは存在が無敵なのにこれ以上強くなってどうするのか。
ああ、そういえば無敵は強いって意味じゃないな。


子どもはしばらくタップダンスを踊ると、また次の目標へと傘をがりがり引き摺りながら駆け出していった。
きっと世界中の水溜りを踏破するつもりだな。
どこまでついていけるだろう。