別世界

外に出ると別世界から帰って来ない。
草、落ち葉、どんぐり。
別世界への落とし穴がそこかしこに広がっている。


あっちの世界へ行ってしまえば、私の声など届きはしない。
コックとしてばっさばっさと草をふりかけ、楽師としてがざがざと落ち葉を握り、宝石鑑定士としてじっくりどんぐりを見定めることに余念がない。
多分、こんなに多職な人は他にいないだろう。残念ながら収入は比例しないが。


どんぐり集め人として生計を立てていくには、一日千個は拾わないと駄目だろう。
こういう現実的(?)な数字を出してくるから大人は別世界に行けないのだろうな。
だから、声も届きはしないのだ。


まあ、私が本気出したらキミより多いし上手いし早いけどな(理性は別世界)