スッ、と立つ

家事をしていると背後で、
「ふっ・・・・・・っん」というくぐもった声が聞こえた。
振り向くと顔を真っ赤にした中腰の我が子。台に手を突きなにやら一点を見つめている。
・・・・・こいつ、やってやがる。


そういえばしばらく出てなかったな、と思いつつ頃合で「でた?」と声を掛ける。
すると、さてさて何のことやらと言わんばかりにスッと立ってどこかへ言ってしまった。
いやいや、明らかに気張ってたし。
先程のキミの姿勢を額縁に入れたらタイトルは『排便』だから。
めちゃくちゃ澄ました顔してますけれども。


何故ごまかすのだろう。いや、だからといって嬉しげに擦りつけられても困るけれども。
うんちが恥ずかしいとは教えてないつもりなのだが、もっと無感動におしめを換えた方が良いのだろうか。
私なら無言無表情で下の世話をされたいとは思わないが。でも、確かに毎回いっぱいでたとか固いとか論評されたくはないな。


とりあえず今はキミの旅立ちを黙って見送るわけにはいかない。
あとなにも無かったような顔しても、あるから。勝手には無くならないから。
いや、無くなったら無くなったで大捜査網を敷かないといけないわけですけれども。
こいつは匂うな、って五月蝿いわ。