お前のものは

自我の目覚めを追いかけるように、所有欲が立ち現れる。
ただ、同時ではないからまだ自制が効くのだろうな。よくできてる。


児童館なんかで、他のお子たちと遊んでいると、他人の遊んでいるおもちゃがとても気になるようだ。
もちろんしゃべれないので意思疎通は遥か彼方の地平だし、礼儀もないから出来たてほかほかのエゴが、生温い火花を散らしてぶつかり合う。


ただただ執拗に唸り続ける我が子。
並べていたおもちゃを全て引き上げ完全拒絶の他が子。
キミらには一緒に遊ぶという選択肢はないのか。
というか、互いに一歩も引かないのは遊べなくて不毛じゃないのか。


私自身は近頃物欲がないので大変新鮮に見えた。
欲しいものはある程度(おもちゃレベルなら)買えるのも影響しているのだろう。
『殺してでも奪い取る』なんて、選択肢はもうでてこない。


でも、持っていかれるのは腹が立つのだから不思議だ。
連れ合いが知らないうちに戸棚のお菓子を食べてしまった時など、殺意すら覚える。
いや、お菓子くらいでは喧嘩もしないけど。また買えば良いのだし。


ただ、何ならするのかは考えておいた方が良いだろう。
一歩引いてばかりというのも、それはそれで不毛なものだから。