好き以外

我が家の美食家は食事に厳格だ。
必ず好きな順番から食べる。いつどこで行き倒れても悔いのないように。


特に根菜が好きで、大根と人参には目がない。
その次が豆腐で、白菜等に続く。ちなみにバナナやみかんは別格。吐いてでも食べる。
フランスの貴族も真っ青の食への執着である(吐きすぎで)


まあ、好き嫌いはある程度仕方ないと諦めているのだが、好きなものが無いと困ったことに皿をひっくり返す。
さすがにそれは許容できないので叱るのだが、今日ようやくひっくり返す理由がわかった。
食べたくないからひっくり返すのではなかった。
本当は好きなものを探していたのだ。


子供の中では、好きなものがない=隠されているなのに違いない。
そういった自分に都合の良い解釈は、おもちゃ隠し遊びの弊害であろう。
数の概念がないので仕方がないけれど。


ひっくり返す理由が理解できたので、叱りすぎたお詫びの意味を込めてぎゅっと抱きしめた。
子供はなんのことかわかってないようだったが、構わない。顔をすりすりした。
子供は笑顔で私の顔をぐいぐいと押してきた。顔が余所を向くくらいの力で。
きっと親愛の情だろう。そうに違いない。それ以外認めない。
さて、これは何遊びの弊害か?