風船災害

子供はふわふわしたものが好きだ。
綿毛とかしゃぼん玉とか風船とか。
いつまでも飽きずに口をあけて眺めている。
きっと自分自身、まだ地に足が着いていないからだろうな。誰しも同類に好感を抱くものだ。


しかし、風船を舐めるのが好きなのは腑に落ちない。
ゴムですよ、ゴム。
「にがっ!」ってなる白い粉は洗って落としているけれど、それでもゴムはゴム。
苦くないのかと思って舐めてみたらやっぱり「にがっ!」ってなった。
騙された。
味にはうるさいのに不思議なものである。


風船で遊んでいると、どうしても顔にぶつかる。
ぶつかるのは痛くなくてもいやらしく、当たる直前大変なしかめっ面になる。ザ・遺憾という感じ。
ただ、どれだけ遠くから放ってもなぜか避けない。防ごうとしない。
しかめっ面時間が長くなるだけなのだった。
目の前のバナナは動いていても素早く掴むのにね。


きっと自分ではどうにもならないと諦めているのだろう。
大人も子供も同じだ。災害を前にしてはなにもできないし、しないのだ。
ただ、本当に何もできないのかは何度も問うべきだろう。
大人ならしかめっ面はぶつけられたあとにすればよい。