つたわる

病気がひと段落して、またたくさん話をするようになってきた。
主には不満と要望だというのが悲しいところだが。
ああ、大人も同じか。
クレーマーの人もだあだあぶうぶう言うだけなら可愛らしいのかもしれないな。


こちらからの話も伝わるようになってきた気がする。
今から鼻を吸うとか、ご飯を食べるとか声を掛けるのと掛けないのでは嫌がり度が違う(決して喜んで受け入れる訳ではない)。
伝わってるな、と感じる時になんとも言えない嬉しさを感じる。
暗闇に向かって投げ続けていたボールが不意に返って来た様な感覚。
もちろん子供自身は見えているのだけれど、こちらの意図が伝わると、子供は本当にそちらに居るのだな、と実感できる。


逆に言うと、子供自身はずっと伝わっていない、と感じているのかもしれない。
投げても投げても返ってこないボールを、諦めずにずっと投げ続けている。
その孤独はいかばかりだろうか。
悲しくて泣いてしまうこともあるだろう。イライラして怒り出したりするかもしれない。


未だ会話と呼ぶには程遠いコミュニケーション。
だけど、誤解でも良い、互いに伝わっていると感じられることが何より素晴らしいことだと思う。


キミの言葉を理解できた日。私は、過去のキミの孤独を思った。