おいしい

さて、乳とおもゆはどちらがおいしいのか。
個人的な感想を言わしてもらうならば、乳の方が甘くておいしい。
いま子供が食べているおもゆは薄くてのりみたいだ。毎日食べていると心が折れると思う。
なのに子供は、はむはむと次から次に吸い込んでいく。まあ、大半はこぼれてくるのだが。多分そのまま放っておいたら口が接着されるか、よだれかけと結合するだろう。
「おいしいねー」などと声かけをするが、実はまったくおいしそうではない。
結婚式などでうらやましいと冷やかすのと同じメカニズムだ。
他人に対してはとても非情になれる。こうやって子供も本音と建前を覚えていくのだな。


だが、本人はおいしくないとは思っていない。というよりおいしいという概念がないのだろう。
不思議なものは食べてみるし、止められなければ幾らでも食べる。
食べたいから、というよりも何かを知りたいに近いのか。
そう考えるとまるで好奇心を食べているようにも観察される。


大人だって同様だ。
一般に、珍しいものを食べたい、新しい店に行きたいという傾向が多いように思う。
問題は、子供と違って大人はこれで栄養を摂ってしまうという点か。
離乳食と言いながらも、子供は乳が生命線だし。


自分の何を満たすのかに自覚的でありたい。