鏡の向こう

子供はとにかく鏡が大好きで、放っておいたら何時間でも鏡を見ている(誇張)
おかげで三面鏡がべったべただが、お金も手間もかからないのが優秀。
大人も三面鏡で遊べるのなら、広大なゴルフ場もグラウンドも必要ない。おそらくそのくらいのサイズの三面鏡にすればきっと大人も遊べるのだろう。


ただ、何がそんなに興味を掻きたてるのかが想像しづらい。
自分が映るのが面白い、とも思えるが、そもそも赤子に自分と言う認識があるのかどうかが既に怪しい。それに、それを理解しているのならきっと面白いとは思えないだろう。
同じ動きをするのが面白い、という考えも同様に考えづらい。自分の姿勢制御すら満足にできないのに、同じ動きだと認識はできないだろう。
向こう側に行けない、というのはガラスでは同じようにしないという点から却下される。
あと、同じサイズの個体が珍しいというのはあるかもしれない。双子なんかは互いを触りあったりすると言うし。

だが、一番ありそうなのは触覚のズレだと思う。
子供がもっとも触れて、初めに覚えるのは肌の感触だろう。その人肌の感触がしない、というのが鏡に触れたがる理由のように思う。


何度触れても向こうの自分は冷たく硬い。
こちらは抱かれて、ぬくくて、幸せなのに。
あんなに触れたがるのは、もしかするとあちらの自分に「大丈夫?」と問いかけているからかもしれない。