褒めるとご褒美と

この間教え込んだ「目の前の移動するものを掴む」が、数日やらない間にきれいさっぱり忘れられていた。
掴んだらすごく褒めてやると案外すぐに覚えたのだが、どうやら忘れるのも早かったらしい。


そういえば「褒めて伸ばせ」と、どの育児書にも書いてある。個人的には褒めなくても背が伸びれば十分だと思うが、どうやら世の保護者はいろいろと伸ばしたいらしい。
感覚的にこの時期の発達は伸びるではなくて、広がるだという気がするけど。
確かに前述のとおり、褒めると覚えが早い気がする。
きっと褒めるという行為が、赤子にとってのトークンになるのだろう。


ただ、思うにそれは犬にお手を教え込むのにおやつを使うのとどのような違いがあるのか。
「犬と一緒にするな」とか「物と褒めるは違う」という当たり前の反論があると思うが、では、どう違うのかはそこまで明確なのだろうか。
反論する人はきっと、将来「テストで満点をとったらゲームを買う」などの約束をしない自信があるのだろう。
私にはない。


褒めるのは現時点で私にとって楽な方法だから行っているに過ぎない。
例えば、不機嫌だったり体調が悪かったとしたら同様に褒めることは難しいだろう。ただ、赤子にとってそれはなんの理由にもならない。褒められなければ不満だし、褒められたりなくても不服は残る。


褒めるとご褒美には明確な違いがある。が、それは自分で知っている必要があるのだろう。でなければ、きっと私は楽な方へ行く。楽な方へ行けば、私と我が子は主人と飼い犬の関係になるのだろう。犬と家族になれる人さえいるというのに。