怖いもの見たさ

家人の実家の近所に豚と山羊と馬がいる。
散歩に出るたび、子どもが連れて行け連れて行け、とそれはもう大変うるさい。
坂の上にあり全行程歩くこともできないので二重に面倒だったりするが、短い間なので基本的にはご希望に沿うことにしている。
ただ、居なくなった親山羊を召還するのは私には無理だ。もちろん理由は聞けない。


で、それだけだと動物が好きな子どものように思えるが、全然好きじゃない。
いや、好きではないと言うと語弊がある。多分好きなのだ。
しかし、好きを遥かに凌駕するほど動物が恐ろしい。視界に入った瞬間に足が固まり、「かえる。こわいぃぃー」を連呼し始め、ガラス越しでも近寄ろうともしない。
なにしに来たんだ、キミは。


当然すぐに帰るはずもない。わざわざ抱っこしてハアハア言いながら上がって来てるのだから。
抱っこして近付くと万力のような力で首を折られそうになる。撫でるとかは夢のまた夢。自分より小さいくらいの子山羊ですら無理だった。


しかし、翌日になるとまた見に行くと言って聞かないのはなぜなんだ。
あまりの恐怖で記憶が改ざんされているのではないかと疑っている。
「撫でた?」と尋ねたら自信満々に力強く頷いていたりするので。